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ケミカルリサイクルの概要や事例を解説!マテリアルリサイクルとの違いは?

リサイクル

2021/10/20

ケミカルリサイクルの概要や事例を解説!マテリアルリサイクルとの違いは?

「リサイクル」という言葉は広く一般化しており、近年ではSDGsに対する関心の高まりもあって、リサイクルに取り組む(取り組もうとする)企業も増えてきました。

しかし、何気なく口にしたり耳にしたりしているこの「リサイクル」が、3つに分類されることを知らない方も多いでしょう。「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」のなかから、この記事では「ケミカルリサイクル」について詳しく解説します。

ケミカルリサイクルの概要

まずは、ケミカルリサイクルの概要について確認しましょう。マテリアルリサイクルとの違いについてもご説明します。

ケミカルリサイクルとは

ケミカルリサイクルとは、使用済みの資源を化学的(chemical)に分解し、原料に変えてリサイクルする方法です。プラスチックごみを分解して石油やガスなどに戻す取り組みは、その代表的な事例と言えるでしょう。その他、家畜の糞尿を化学反応によって組成変換し、バイオガス化するという処理もケミカルリサイクルの一種です。

マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルとは、回収した資源ごみなどを原料にして新しいものをつくり出し、再利用する方法です。マテリアル(material)は英語で「原料」や「材料」を意味することから、「材料リサイクル」とも呼ばれます。プラスチックをリサイクルする場合は、プラスチックごみを高温で溶かして原料に戻し、そこからプラスチック製品に再生します。

それぞれの違い

マテリアルリサイクルでは、フレーク(プラスチックを破砕・洗浄・乾燥したもの)やペレット(フレークを溶かして粒状に成型したもの)にしたのち、さらに溶かして「樹脂材料」となります。樹脂材料としての品質基準を満たすには、異物や汚れを取り除き、なおかつ同一種類のプラスチックでなければなりません。

一方のケミカルリサイクルでは、高温で熱分解を行い、合成ガスや分解油などの「化学原料」にします。こちらの場合は他の化学物質に転換して再利用できるため、種類の異なるプラスチックが混在していても、もとのプラスチックに多少の汚れなどがあってもリサイクルが可能です。

使用済みプラスチックを別の製品の原料に変えて再利用するという点は両者共通ですが、そのプロセスが違うと覚えておきましょう。

ケミカルリサイクルの代表的な事例

ミカルリサイクルの代表的な事例

続いて、ケミカルリサイクルの事例をご紹介します。ケミカルリサイクルにはどのような手法があるのでしょうか。

コークス高炉原料化

コークス炉は、空気を遮断して石炭を加熱し、コークス(石炭を乾留して炭素のみ残した燃料)を製造する設備のこと。高炉は火を燃やしておく場所のことで、コークス高炉原料化はプラスチックを石炭の代替品として利用する技術を指します。

コークス炉内部には両側の燃焼室から間接加熱される炭化室という空間があり、投入されたプラスチックは燃焼することなく熱分解されます。熱分解されたプラスチックは炭化水素油やコークス炉ガス、コークスとなり、生成されます。

ガス化

プラスチックごみなどを燃やしてガス化(気体化)する手法です。プラスチックを燃やすと、二酸化炭素と水素が発生します。回収した二酸化炭素は炭酸飲料やドライアイスなどに、また水素は主にアンモニアの原料として再利用されます。

油化

使用済み資源を熱分解し、生成油を製造する手法です。プラスチックの場合は、まず脱塩素機で塩素分を除去します。そして、残りの炭化水素を熱分解すると生成油(炭化水素油)ができます。生成油には軽質油・中質油・重油の3種類があり、途中で取り除かれた塩素分は、塩酸として回収されます。

原料・モノマー化

化学反応を利用して資源を分子(モノマー)まで分解し、それを原料として再び製品に利用する手法です。使用済みのペットボトルをモノマー化し、新しいペットボトルに作り直すケースなどが該当します。以前は使用済みペットボトルから新たなペットボトルを再生するのは難しいとされていましたが、今日ではモノマー化技術の進化によって、原油から作るペットボトルと同等の品質を実現できるようになりました。

バイオガス化

バイオガスは、微生物の力を使ったメタン発酵によって発生するガスのこと。このガスには「メタン」という燃えやすい気体が含まれており、発電にも利用できます。このメタン発酵をさせるため、微生物に与える「えさ」となるのが、家畜により排泄された糞尿や生ごみなどです。

まとめ

日本ではマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの多くを「海外への廃棄物輸出」に依存しており、その改善が大きな課題になっています。

廃棄物の収集運搬処理を手掛けている千葉企業では、こうした社会的課題を自社の事業責任と紐づけて考え、事業所が排出する廃棄物の最適なリサイクル方法や回収・運搬方法、リサイクルフローなどを日々研究しています。産業廃棄物や使用済みプラスチックのリサイクルに興味がある企業様は、お気軽にお問い合わせください。

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